屋根・雨漏りの調査員のブログ

屋根・雨漏りの調査員、神谷昭範です。仕事であり、趣味である屋根・雨漏り調査などからリフォーム・メンテナンスに関するお役立ち情報を誠実にわかりやすく書いています。

屋根で減震リフォームは効果あるの? 屋根の軽量化リフォームについて。

屋根で減震リフォームのキャッチコピーをよく耳にします。


屋根を軽量化することで、「減震」と言って屋根替えリフォームをPRしている業者があります。

さらに、「屋根の軽量化は身近で手軽な耐震対策」としています。



この「減震」について考えてみました。

まず、定義についてです。

●耐震とは震度6まで倒壊しない強度を確保することが目的です。

●免震とは地震の揺れを逃がして躯体にエネルギーを伝えないことが目的です。

●制振とは制振材により、揺れや地震のエネルギーを低減させることが目的です。

それぞれ、何gal地震まで対応する性能が明確になっています。



一方、屋根で減震リフォームを行うことは、何の恩恵を与えてくれるのでしょうか?


耐震対策というからには、震度6まで倒壊しないリフォームなのでしょうか?

答えは、地震の揺れは小さくできるが、震度6まで倒壊しないといえないリフォームのことです。
非常にお施主様に誤解を与えると思います。
お施主様は、耐震を求めているのに対して、地震の揺れは小さくできるが耐震(震度6まで倒壊しない)ではないというギャップを生じています。




「屋根の軽量化は身近で手軽な耐震対策」について考えてみました。

木造住宅の耐震補強のポイントと実務 講習会テキスト(財団法人 日本建築防災協会)をみますと、耐震補強の方法としては、以下の内容となっています。

 1)壁の補強・バランスのよい配置

 2)接合部の補強

 3)基礎の補修・補強

 4)水平構面等の補強

 5)腐朽・蟻害への対応(部材の交換等)


この5つが補強方法として、具体例をもとに記載されています。耐震対策としては、上の5つが効果的で重要と言えます。


それでは、屋根の軽量化はどうかといいますと、

 6)その他

   (1)建物の軽量化

   (2)開口部の補強

   (3)小屋裏補強

   (4)ブロック塀の対応

   (5)地盤、擁壁の安全性

6つ目として、その他が挙げられています。

その他の中の(1)建物の軽量化の中に、屋根の軽量化・外壁仕上げの軽量化があり、やっと出てきます。


さらに、コメントでは、

「一般的には屋根の軽量化よりも壁の補強を行う方が費用や施主の手間等を考えると効率的である」

「一般的に屋根の軽量化は費用が高くなり、工事規模が大きくなってしまう」

と記載されています。


つまり、屋根の軽量化はその他の扱いであり、主要な耐震補強には該当しません。
実際、壁の補強をせずに屋根の軽量化するだけでは、耐震基準を満たしません。

さらに、「身近で手軽な耐震対策」とは、「安価な耐震対策」と誤解を与えやすい表現となっていますが、全く安価ではありません。


例えば、積算資料ポケット版リフォーム編2015において、モデル住宅の耐震補強として、壁を補強する(耐力壁の新設)する場合、1カ所約2.2㎡で111,000円となっています。
瓦屋根で壁量を満たすために、
2カ所行うと222,000円となります。

一方、瓦屋根を金属屋根に変更する場合、2,484,342円となり、約10倍の費用がかかり、かつ壁量を満たしません。


「身近で手軽な耐震対策」ではなく、「高額な地震の揺れを小さくする対策」といえます。



このような誤解を与えやすい商法を助長している1つとして、各自治体が発行している耐震リフォームの手引きがあるといえます。

手引きには、分かりやすくするために、屋根の軽量化をすれば耐震基準を満たす印象を与える記載がされています。


是非、この表現を修正していただき、業者が得するリフォームではなくお施主様にとって、生命が守られ、効果的・経済的な耐震リフォームが普及することを期待しています。  (#⌒∇⌒#)ゞ